左手ちゃんの日記

すぐしにたくなっちゃう人の日記

お母さんは毎週金曜日の夜にいなくなる話。

これも私が子供の頃の話。

いつの頃だかはもう思い出せないが、私が中学か小学生か、そのくらいの話だ。

 

お母さんは毎週金曜日の夜になるといなくなって、月曜日の朝に帰ってくる人だった。

 

「お母さんは?」

「知らな〜い、またどっか行ったんじゃない?」

 

私はいつも嘘をついた。

お母さんの居場所はなんとなく検討がついていたくせに、それを言うと1番上の兄は不機嫌になるから。

 

毎週金曜日の夜に消えるのは、母親が不倫相手と密会していたからというのは、三兄弟全員が知っていたことだった。

兄も、知らずに聞いている訳ではなく、いない母親を私に向かって責めているだけで、私は母親に、知らないって言ってねと言われていたからこう答えていただけ。

 

そういう時期は長く続いた。

決まってリビングに置いてある封筒(場所は父親には秘密だったので隠してあった、なぜなら使ってしまうから)の中に何千円か入っていて、私たち兄弟は1人500円でコンビニでお弁当を買って食べた。

 

そういう思い出を今振り返って、当時は本当になんとも思ってなかったけど、これって軽い育児放棄では…?と思ってしまい、今に至る。

 

なんだかうちの家がほとんどゴミ屋敷みたいになっていたのも、親のどちらかがするはずの片付けや掃除をしていなかったから、自然とそうなっていたんじゃないのか…?

 

今更なんだけど、うちの家ってほんとうに親が親として機能してなかったから、普通に今生活していると本当に思うけど、ちゃんと機能している親って本当にすごいよ。

 

実家が遠くにある同期とかが実家に帰るという話を聞く度に、ちゃんとしている家だから居心地が良くて、だから帰りたいと思うんだろうなあって思う。私はあの家に帰りたいとは思ったことはないけど、そういう家だったら、帰りたかっただろうなあと思う。

 

帰りたい家がないことが最近とても苦しい。クソ上司のハラスメントに合って、仕事を辞めたいと思っても、帰る家がないから辞めたら路頭に迷ってしまうし、こういう状況を伝えたところできっと、「宗教を信じてないから」と言われることは予想がつく。逃げ場はどこにもない。

 

そんなクソ上司でさえ、家では良いパパをやっているみたいで、仕事の途中で息子の誕生日に3000円台もするケーキをさらっと買って帰り、家族でディズニーランドホテルに泊まったり、奥さんと銀婚旅行に行くらしく、私はそれを聞いて、「いいなあ」と感じてとても惨めに思ってしまった。

 

たしかに、酔っ払って新卒の女をセックスに誘いそうになる50代のおじさんはヤバいんだけど、それは家族からしたら見えていない部分なわけで、立派なパパでしかないわけで。毎日働いてるし役職は偉いし酒飲みすぎて家でうんち漏らしたりしないしタバコで床焦がしたりしないし借金も作らないしきっと学資保険だって勝手に切り崩してない…。

 

私はそれがとても羨ましくて、羨ましいことが悔しくて、つらくて、ここ最近ずっと、その事を考えてしにたくなってしまう。

 

この感情ってきっとどうしようもなくて、ただずっと、「普通の家」に対するコンプレックスは消えないんだと思う。

 

無理に消そうとするのも良くないというのはもう、散々こういう気持ちと向き合ってきてわかっている。今はこれが消えるまでじっと待つしかない。時間が経って悲しくなくなったら、自分に優しくしてあげたい。

 

私が健全な精神を持って幸せになるには、こういう感情とひとつひとつ向き合う必要がある気がするって最近わかったから、ちゃんと向き合っていこうと思う。ひとつひとつ大事に消化して、それが遠い未来の自分の栄養になればいいと思う。